テクノロジーの変化が大きい時代にコロナウイルスが登場し、医療業界のデジタル化には拍車がかかり、オンライン服薬指導・オンライン診療などは、TVでも取り上げられている。
そのような背景もあり、環境変化への感度が高い若手薬剤師は、
「変化に対応するためにどのようなスキルを身につけるべきか?」
という問いに向き合っているのではないだろうか。
その問いに対する答えは「クリティカルシンキング」だと私は思っている。
皆さんご存知の、厚労省による『患者のための薬局ビジョン』。
その文中に「対物から対人へ」というフレーズがある。
私はずっと、この言葉だけが一人歩きしているように感じていた。
「患者のため‥」患者のため?
何をする事が患者のためになるのか?
ところで皆さんは「クリティカルシンキング」という思考法をご存知だろうか。
簡単に言えば、物事を論理的・構造的かつ客観的に思考する事である。
私はこの思考法を学んだ際に、「イシュー」(その課題を解決するための大きな問い)を設定した。
イシューとは、考えたい事でも、考えやすい事でもない。今ここで考えるべき問いである。
「そうだ!患者のイシューを捉え続けることが、対物から対人への鍵だ」そう思った。
業務の振り返りをしてみて欲しい。
「目の前の患者にどんな説明をしてるか?」「どんな思考でいるか?」
今ここで考えて欲しいのが、それが「あなたのイシュー」になってはいないかという事。
患者のイシューを捉えようとしていましたか?
そしてそれを捉え続けようとしていますか?
実際先日、薬剤師と行ったセンションでは、こちらが言いたいことや、患者にやってほしいことを説明する者が多かった。
そして患者のイシューを捉えていなかったのでは?との話が出ていた。
薬剤師は薬学という知識を、患者のために使うことで、初めて価値がある。
当財団は、患者にとって「同行二人」であり続けたいと心から思っている。
「患者のイシュー=患者にとって解決すべき問い」
薬剤師サイドが言いたいことを伝えるのではなく、患者の課題を解決するためには?と常に考え動く事で、患者から必要とされる薬剤師像が見えてくると思う。
若手の薬剤師の皆さんが、先輩たちが作ってくれた医薬分業の流れを引き継ぎ、患者のために行動するには、対物から対人へのシフトの鍵となる「患者のイシューは?」を常に捉え続ける事だと思っている。
患者のために学び、患者と共に学び、患者と共に学び終える。
その鍵となる「クリティカルシンキング」。
日本には薬剤師がいたから、超高齢化社会問題が解決でき、また日本が前に進むことができた。そう言われるよう、若い柔軟な頭をフル稼働してもらいたい。
そしてそんな活動を、当財団が共にしていきたいと切に願っている。
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